日 時 2018年7月24日(火) 19:00-20:30
スピーカー 高橋志行さん(立命館大学ゲーム研究センター)
場 所 京都大学 吉田泉殿

当日のスライドとメモは以下からご覧ください。

スライド

※公開用に一部割愛されている場合があります。

メモ

当日参加者13名(世話人5名+スピーカー1名含む)

研究手法

  • 書誌学(図書館情報学)とゲームスタディーズ
  • 社会学

博物資料としてのゲーム

社会学の視点から見たゲーム

  • 「制度」「言説」「事態」から成るモデルを仮定
    • ある社会問題が解決すべき重要な課題であることをどのように位置づけるか?
    • 言語レベル、ふるまいレベルでの障害、困難、偏見のまとまり(=「言説」))がある
    • 偏見であっても、ある個人・集団にとっての社会的信念として強固にあるものであれば、簡単には変えがたい
    • 「言説」と「事態」は実際には分離しがたい
    • ゲームが「社会的なもの」を語っているとき、そこには「制度」「言説」「事態」の枠組みがある
    • ただし、これは俯瞰的……個々人は実際には事態のただなかでもがいている
  • 個々人の「当事者性」
    • 視点の転換:俯瞰(三人称)から当事者(一人称)へ
    • ゲームをプレイすることで、現実にある当事者性を、部分的にシミュレートできる

「社会」をゲームで表現する

  • ゲームが「社会的なもの」を語るとき、そこには「制度」「言説」「事態」の枠組みがあると言えるのではないか? という仮定
  • 「制度」や「事態」はルールとして明示される
  • 当事者性は?
    • キャラクターシート
      • キャラクターの活躍の範囲は、世界によって規定される
    • クトゥルフ神話RPG(活躍する力の定量化の例として)
    • オープン型花見ゲーム
      • オープン型花見ゲーム(物語志向)
      • クローズ型花見ゲーム(課題解決志向)
  • その他の取り組み
    • ボードゲーム、京都大学「大学問題共有ゲーム」(支援)
    • 会話型RPG、「ファミリーズ!」(社会調査)

オープンサイエンスとゲームの相互位置関係

  • ゲーミフィケーション(例:my.barakobama.com、Foldit!、Rosetta@home)
  • どこまでが「ゲーム」なのか?(例:reCAPCHA)
  • ボタンが押せればそれは全てゲーム?(さわやか『僕たちのゲーム史』)
  • オープンサイエンスとゲーミフィケーケーション、趣味としてのゲームは、それぞれの目的が異なりつつも、技法において部分的に重なりあう面がある

Q&A

  • Q. ゲーミフィケーションは研究プロジェクトなどにも使えるものか?
    • A. 主に研究プロジェクトの広報(Public Relations)という点で使える可能性はある。
  • Q. 日本ではシリアスゲームの多くが教育・技術開発系で使われていて、ガバナンスには利用されていないという印象がある。欧州では社会参加を促進するツールとして使われているが日本ではあまり聞かない。なぜか?
    • A. 教育学・教育工学の実践の中でシリアスゲーム研究を行う層はアカデミズムを中心に手厚い。また日本にも、シリアスゲームやシミュレーション&ゲーミングで社会変革を目指そうとする人たちと、ゲーミフィケーションで社会変革を目指そうとする人たちがいるが、その両者が出会う接点がまだ少ないせいかもしれない。
  •  「言説」と「事態」は理解できる。「制度」の側からゲームを考えるとどうなる?
    • A. 参加者が遵守する明示的な規則の集まりを仮に「制度」と見立てたとして、作り手の意図によって与えられた規則の集合(≒制度)は、しばしばゲームデザイナー自身の元の見込みも裏切ることがある。デザイナーが面白いと思って立てたルールは、プレイヤーにとってそう取られないかもしれない。そのように、ゲームコンセプトと実装との間で差が出ることは頻繁に起こる。そのような意味において、あるゲームに対してゲームデザイナーは神の位置にいるかもしれないが、ゲームデザイナー自身も、見方を変えれば、ゲームデザインという営みの当事者である。その点で、制度の担い手の側も、常に(ゲームの)制度を俯瞰できるとはいえない。
  • 遊ぶゲームはどうやって選べばいい? あるいは発表者の方であれば何を推薦する?
    • ビデオゲームなのか、アナログゲームなのかによって、紹介するものが変わる。また、内容が面白いものか、内容はそれほど面白くなくても着眼点がよいゲームかなど、期待されるゲームの方向性によっても変わる。たとえば、じっくりやり込む系のゲームではないが、インタフェースを通じて人の出会いと別れをスマートに表現したものとして、iOSアプリゲームのFlorence(フローレンス)はおすすめ。
  • ゲームの効果をどう評価したらよい?
    • 今年度取り組んでる調査では、談話分析(Discourse Analysis)の手法を採用するつもりで調査を進めているが、分析対象となる基礎データとしては、プレイ中のプレイヤーの様子を録音や録画することから始めている。また、会話分析の手法では、プレイヤーの発言などの自然言語を記述してトランスクリプト化する場合もある。プレイ前後でプレイヤーの言葉の流暢さを比較したり、形態素解析を行うこともある。近年はKHコーダーという自然言語処理のアプリケーションが有効活用されている事例もある。